2019年5月29日(水)、職場でのパワーハラスメント(パワハラ)防止を企業に義務付ける関連法、通称「パワハラ防止法」が国会で可決されました。早ければ、大企業は2020年4月、中小企業は2年後の2022年4月に施行となる見込みです。

昨今、やたらと耳にする機会も多くなった「○○○○ハラスメント」。
なぜここまで頻繁に耳にし、そして、今回このような法律が可決されたのでしょうか?

現代社会にはびこる「パワハラ」とは?

パワーハラスメント(以下:パワハラ)  「ハラスメント」=「嫌がらせ」の意

同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性(※)を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為。

※職場内の優位性:上司の権利を悪用するものが一般的であるが、上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれる。

(2019年5月29日(水)に可決された「労働施策総合推進法」の中で定義)

言葉で定義される以前からも、パワハラにあたる行為は存在していたかもしれません。しかし、現代では日々のニュースとして取り上げられたり、様々な相談窓口ができたり、国が法律で防止を義務付けるまでに至るという事は、それほどの被害があるという事ですね。

実際に、パワハラを経験した人はどのくらいいるのでしょうか?

2019年2月20日にエン・ジャパン株式会社が発表した調査結果では、
「ミドル層(35歳以上)の8割以上がパワハラを受けた経験がある」
という事実が判明しました。

ミドルに聞く「パワハラ」実態調査 <エン・ジャパン株式会社>

また各都道府県にある労働局へのパワハラを含む「いじめ・嫌がらせ」の相談は、
2017年度で約7万2,000件、相談内容別では6年連続で最多に上がっているそうです。
全体的な件数と、ミドル層(35歳以上)の8割以上がパワハラ経験者だとすれば、社会人になったばかりの人や、先輩・後輩色の強い若い層でも、パワハラが存在することは間違いないでしょう。

パワハラの6種類 -あなたのまわりで身に覚えありませんか?-

パワハラは6種類に分類することができます。

あなた自身のご経験や、職場内で思い当たるものはございませんか?
気づかず習慣化していることが、もしかしたらパワハラに該当するかもしれません。

1.身体的な攻撃

蹴ったり、叩いたり、突飛ばしたり、社員の体に危害を加える「身体的攻撃」型のパワハラです。どんなに軽い書類でも、丸めた1枚のポスターでも、それらを使って部下や同僚を威嚇し、従わせようとする行為はパワハラにあたります。またタバコの火を近づけたり、立ったまま電話営業をさせるというようなことも身体的な攻撃とみなされます。

2.精神的な攻撃

脅迫や名誉毀損、侮辱、酷い暴言などの精神的侵害はパワハラの典型例と言えます。同僚の目の前で叱責されたり、他の職員も宛先に含まれたメールで罵倒されることも精神的な攻撃です。「バカ」「のろま」「やめちまえ!」などの暴言は、業務指示の中で発せられたとしても、業務を遂行するのに必要な言葉とは言えません。

3.人間関係からの切り離し

無視や仲間はずれ、別室への隔離など、相手に疎外感を与えるような行為がこれにあたります。挨拶を無視されたり、報告しようとしても話を聞いてもらえない、社内の連絡事項を自分だけが知らなかったり、歓送迎会などに一人だけ呼ばれないといったことがあれば、それは人間関係の切り離しに値するパワハラです。

4.過大な要求

業務上、明らかに不要なことを指示されたり、ひとりではとても遂行不可能な業務を押し付けられるといったことが「過大な要求」型にあたります。新入社員にベテラン社員でないとできないような業務を丸投げする、業務とは無関係の私用な買い物や送迎を無理やりさせるといったことが挙げられます。

5.過小な要求

業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないことで自尊心を傷つける行為は「過小な要求」型のパワハラです。「過大な要求」型と正反対の行為ですね。例えば、営業職として採用した人に社内清掃だけを命じる、一度ミスをしたら「お前はもう仕事をするな!」といって次の仕事を与えずに放置するといった例があります。

6.個の侵害

業務とは無関係のプライベートな領域に過度に立ち入るような発言や行為が「個の侵害」型のパワハラです。管理職の者が社員の管理の目的ではなく、管理職としての優位性を利用して、私生活や休日の予定を聞いてきたり、携帯電話やロッカーなどの私物を覗き見たりすることなどが該当します。他にも、家族や恋人、信仰する宗教、プライベートの過ごし方について執拗に聞いたり、業務時間外で休日や退勤後に個人的な連絡をするといったことも挙げられます。
個の侵害の中で、特に異性に対して行った場合はセクシャルハラスメント(セクハラ)に該当する場合もあります。

パワハラ防止法 -何がどう変わるの?-

これまで「○○○○ハラスメント」に関する法律としては、

  • 「セクシャルハラスメント(セクハラ)」・・・・・・雇用機会均等法
  • 「マタニティハラスメント(マタハラ)」・・・・・・改正育児・介護休業法

が存在し、企業に対して、防止義務を定めたり、不利益な取り扱いが禁止されています。

一方、パワハラに対してはこれまで明確な特別法の規制は存在しませんでした。しかし、内容に応じて、現状でも民法や刑法などでも規制・処罰される場合があります。

それでは、今回可決された「パワハラ防止法」の中身を見ていきましょう。

パワハラ防止法

正確には「改正労働施策総合推進法」のうちの一つで、2019年5月29日(水)に、男女雇用機会均等法、女性活躍推進法とともに可決。

これらの法律には、パワハラやセクハラ、妊娠出産を巡るマタニティーハラスメントに関して「行ってはならない」事と明記され、企業に対しパワハラ防止策を取ることが義務付けられた。

企業がパワハラ防止策を行わなかった場合、厚生労働省は対象企業に改善を求める。それにも応じない場合は、厚生労働省が企業名を公表する場合もある。

今回は、このような内容が可決されました。

今回の関連法にパワハラに関する罰則規定は定められていません。また、企業が取り組む防止策の内容は、これから作成される指針にまとめられるそうです。早ければ施行は、大企業が2020年4月、中小企業は2年後の2022年4月と言われています。

「なんだぁ……パワハラに厳しい罰則が付いたり、今すぐ具体的に何かしなければいけないわけじゃないんだぁ。」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

今現在も「これはパワハラではないのか?」と声を上げて疑問を投げかけても、「これが会社のルールだ!」「他のやつらだってみんなやってるんだ!」と虐げられている方がいらっしゃるかもしれません。しかし「パワハラ」の定義が明確になり、これまで有耶無耶に誤魔化されて苦しんでいた人たちが、救われる可能性が大きくなりました。

今回の改正法の可決で、パワハラは行ってはならないこと、あってはならないこと、として企業がパワハラの防止に努め、社員が健全に働ける場をみんなが作り上げていく道が示されたのです。さらに今後作成される防止策の指針以外にも、具体的な法整備が進んでいくことと思われます。

今回の改正法、通称「パワハラ防止法」は、パワハラに苦しんでいる人たちが救われるチャンスにつながり、気づかずにパワハラをしている人や企業が自分達の行いを見直すきっかけであり、スマイルのあふれる明るい職場を作る第一歩です。

ハラスメントの無い明るい職場を目指して

パワハラの無い、明るい職場を目指して、今何ができるのでしょうか?

もしよろしければ、厚生労働省の『あかるい職場応援団』を覗いてみてください。

このサイトは、パワハラの基本情報から、過去のパワハラ裁判事例や他社の取り組みなど、パワハラ対策のための総合情報サイトです。

  • パワハラに悩んでいる方
  • 「それはパワハラです!」と言われてしまった管理職の方
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それぞれの立場に合わせたコンテンツも用意されています。

私たちチームMyASP(マイスピー)は、皆様のネットビジネスをサポートし、皆様を「スマイル」にすべく日々業務に励んでおります。

今回の話は、MyASP(マイスピー)のサービス範囲外になってしまいますが、どうかMyASP(マイスピー)が関わるサービス範囲外でも、皆様がハラスメントのない明るい職場で「スマイル」で働かれることを願うばかりです。